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鵺の呼び声

誰かを待つ哀しみ 落日を染める

灯の消えたぬばたまの その夜の畔へ

実る麦穂を揺らし 風はただ唄う

暮れゆく人の世のあらまし 遠い鵺の呼び声

 

凶音の声

 

黒い木々に 紛れ込む 妖しは

歪な目に 映らない 錆びた魂

暖かい日は暮れて 宵は既に濃く

終夜ひたひたと忍び寄る狩人

 

生者の痕

 

歓喜に湧き 悲痛に暮れ 夢まだき

あめふらしは 虹を見て 何を知る?

 

泥濘の境界は 今際の果て

遠い空の下 知らぬ間に​ 降る雨と 光の矢

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