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桜雨 act3

言の葉がほろりと 解けて落ちる

紡ぎかけた響きは まほろばの夢

 

睫毛の隙間から 覗く世情は

哀色が濃く溶けた 妖かしの国

 

月の下で開く唐笠 そよぐ風に舞う桜雨

 

はらほろ 踊る調べは 今をたゆたう

儚い想ひ奏でる 今宵限りと

 

誰彼の彼方に ひとつふたつと

燈火が産まれては また消えていく

 

閉ざした襖から 漏れる光は

温もりを含んでる 母蜘蛛の糸

 

昼夜の境界はあやふや 目も眩む様な刹那の夢

 

からころ 舞台の上で 演じる日々が

暫しの幕間と知るも 唄う旅人

 

微睡んだ輪廻の楼閣で 今日もさ迷う幼子

咲いて散る定めとしても 生きたこの証よ

 

永久に月の下で独り 花散る音を聴く

眼を開いた久遠の一夜に

 

貴方は・・・

 

宵闇に揺れながら

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